「医者の倫理」
終りから三行目の「どくろのシール」、それと題名の「医者の倫理」が効いています。医者の倫理がどくろのシールが貼られたガラス瓶の中身を処方することにある、と? (ネタバレ、すれすれ)
「永遠の生命」
書き出しの二行がいい。
そしてある日、塵旋風が発生した。風は盲目の馬のように何時間も谷間を駆けまわり、ようやく土ぼこりが落ち着くと、そこには女の姿があった。そしてまた写真屋であった女が車で走り去るのを見送った後の、最後の何行かがいい。
なぜか、J・ジョイスの『ダブリン市民』のなかの「エブリン」のラストを思い出した。人間が得ようとして決して得られないものの、大きさ、切なさ。
「古典の勉強」
自分も奇妙な情熱に浮かされてしばしつまらないことに現をぬかすことがあるので、主人公ネクタリオのいくつもの奇妙な情熱と、その度に聞かされる獣医のもっともな所見のあいだの大きな齟齬にはネクタリオ以上の落胆を覚えました。自分がこれまで書いてきた小説のようなものも、多分、このホメロスと名づけられたインコの童謡に如かず、などと自虐的な思いまで浮上。
しかし、結果として不在を証明することにはなっても、やはり存在を証明しようと躍起になるのが人間なのだろう。
「永遠の生命」は私も好きです。写真技師が良いですね。
返信削除村人がすごくいじらしい。本のすべてを読み終えた後にこの章が静かな悲哀に満ちた感慨をもたらします。
『自分も奇妙な情熱に浮かされてしばしつまらないことに現をぬかすことがあるので、主人公ネクタリオのいくつもの奇妙な情熱と、その度に聞かされる獣医のもっともな所見のあいだの大きな齟齬にはネクタリオ以上の落胆を覚えました。』のところ、おおいに同感です。自分と、かさなりますね。でも、私ののめりこみなんて、他人にはどうでもいいことなんですよね。もし、それが熱を上げていたワリにはくだらなかったな、結果が出なかった、と分かった場合があっても、その真っ只中は面白くて仕方がない。たとえ、傍からは「バカな役にも立たないことばかりやっている」と思われても充実してます。何もやらないよりは人生が面白いと思います。
この村の住人は、ステラ嬢もそうですが、村の外から来た人間に対して基本的にうぶですよね。
返信削除愛すべき人物ネクタリオ。「応用航空学」、読みました。最後の一行、笑ってしまいました。やはり落ちがありましたね。
「アトランティスの伝説」まで読み通しました。深いため息です。
この終り方はちょっと言葉がないですね。地震で始まったので、てっきり終りも自然災害のような形かと予測していましたが……。