20世紀もあと二日。ふと思い立って管理人の個人的たわごとを記すページを設けることにした。あまり多くのひとの目に触れることは期待しない。というよりむしろ誰の目にも触れないという想定の方が書きやすい。ひとに読まれることを意識するだけで、文章はそれなりのものに成り下がってしまうものである。
「プラトンの洞窟」というタイトルは、そんな事情から命名した。
ひとりの人間が、さほど大きくもなくさほど深くもない洞窟の奥の壁に向かって座っている。
洞窟の入り口から光が射し込んでいて、彼(彼女)は洞窟の壁に映る自分の影を見ている。ほかには何も見えない。
彼(彼女)にとって、まさに自己の影こそが世界である。
ひとは皆、これまでの生の来歴からさまざまな知識を得、自分は十分に客観的な視点を所有していると思っている。
だが、ほんとうだろうか?
ぼくたちは客観的に世界を見ているつもりで、実は単に、自己という影を見ているだけではないだろうか?
ぼくがこうして書いている文章もプラトンの洞窟に映る影にすぎないのかもしれない。
誰もが自我の牢獄にいてその影を見ているだけ。
そんな感慨がこの『プラトンの洞窟」というNegative Room、ひとつの牢獄を作る気にさせた。人間が、いかに自我を通してしか他者や世界を見ることが出来ないか、という自戒と諦念と絶望から21世紀に足を踏み入れたいと思う。