普通だったら一晩か二晩で読み終えてしまうだろうところをゆっくりと3編くらいずつ。
読んでは考え、感想を書くのにはちょうどよいペースかもしれないが。
「応用航空学」
「古典の勉強」でインコにホメロスという名をつけて古典を暗誦させることに情熱をそそいだネクタリオ(君)が再度登場。彼はほかにも、実は耳が聞こえないシャム猫に空中ブランコを覚えさせようとしたり、まったく競争心のないエンゼルフィッシュに世界初の熱帯魚レースをさせようと訓練を開始したり、奇妙なことに情熱をそそぐ性癖の持ち主ですが、この作品でもまたもや非現実的な試みに熱中します。
私自身も今年「陸わさび」を10株植えてみて全滅の憂き目に遭ったり、赤いルバーブの種探しに血眼になったり、ネクタリオ君が他人のようには思えなくて、わがことのように痛い結末と、それを吹き飛ばす最後のひとことに思わず痛笑い(造語です)いたしました。
「四旬節の最初の日」
「老嬢ステラの昼下がりの夢」の後日譚でいろいろ書くとやはりネタバレになってしまいます。
ここまで読み進めて来て、この小さな村の住人、それぞれが好きになってきました。無論、ひとりひとりはそれぞれどこかが歪んでいるバロック真珠のようであって、ささやかな不道徳や小さな悪意も持ち合わせていて油断が出来ません。でもなぜか憎めない。
この作品のなかの看守長もそうです。アリストを撃てという命令を最後まで下せません。
「アトランティスの伝説」
いよいよ最後の作品です。読む前から題名によって何か自然災害か天変地異が起こって村に破局が訪れるのだろうと、漠然とした感触を抱いていました。冒頭の作品で村が地震に見舞われたので、なおさらそういうイメージが強くなりました。
しかし、そうではありませんでした。
この結末は、ここに書いてしまったら首を絞められそうな、超特大のネタバレですので書きません。
このありえない結末を読み終えてただひとこと、
小説というものはあったことをあったように書くものではなく、むしろ、あり得ないことをもあったように書くものなのだ。そのことによってのみ、小説は現実や日常から離陸して、単なる現実の記録ではない真の創造となる。
わ、偉そうに、相当の誇大妄想気味ですが、ネタバレを避けると自然にこうなってしまうのです。
この小説集を「胡壷:KOKO」5号で教えて下さった納富さん、亀のようなゆっくりペースのこの読書感想におつき合いくださった方、そして感想が被らないように読むのを待っていただいていたLydwineさん、どうもありがとうございました。しばし有意義な時間を過ごさせていただきました。
納富さん、これで今夜はぐっすり眠れそうですが、しかし、眠っている間に自分が「アトランティスの伝説」の村の中で眠っている夢を見たりして……(^_^.) ね。
この村の住人、何だかずっと私の記憶のなかに残って、生きていそうですよ。
ブロードバンドでない方、CPUの小さい方、うまく再生されないかもしれません、済みません。
IEでないブラウザはいきなり鳴り出すかもしれません、済みません、停止ボタンを押してください。
ついに読了されましたか!パチパチパチ。「応用航空学」のラストは、笑いますよね~。 終章の「こうきたか!」という展開を書けないのは、口がむずむずして辛いでしょう? 言ったら、私が一番に首を絞めそう。
返信削除やはり、ネクタリオはあのネクタリオですか。いや確かに、同人誌の皆様のなかでも、ブログを開いていらっしゃる方々には、どこかネクタリオに繋がる純粋さ、熱意を感じますよね。ひとつのことにのめりこめる才能は、稀有のもの、と私は非常に羨ましく思っています。『石の葬式』を読んでいる最中の方々と同じ世界で息をした時間をとても嬉しく思います。このブログのおかげで、2回、楽しめました!
ありがとうございます。
返信削除それにしてもネットってありがたいですよね、時空を超えてこういう話題で九州、信州、東京、そのほかどこにお住まいの方とでも会話できるんですから。
身近でこういう話が出来る人間を探すというのは、ことに私のような人口密度も空気も希薄な場所に住んでいる者には相当むずかしいですが、まさにネット様々です。
またいい本があったら教えて下さい。