午後三時過ぎ、時間が出来たのでTさん宅へソバ粉を届ける。奥さんはデイ・サーヴィスに行く日ではないらしく在宅。Tさんが淹れてくれたお茶をいただきながら雑談していると、こたつにもぐりこんでいては時々むっくり起き上がり、「おばさん、何の歌が好き?」と私に反復して同じことを訊く。私は男であるはずなのでおばさんではなくおじさんであるはずなのだけど、この場においてはおじさんであってもおばさんであっても差しつかえはないので、意に介さず「美空ひばりの愛燦燦」と答えると、安心したようにまたこたつにもぐりこむ。Tさんの家にいる間、おそらくこれが4、50回くらいは繰り返される。
Tさんとしゃべっていると、たまに「それだけしゃべれれば大丈夫だ」と突っ込まれる。
「ははは、女房にはしゃべり過ぎって言われてます」と答える。すると奥さんはうれしそうに笑う。
男のTさんにお茶の支度をさせるのは気の毒なので寄らないようにしようと思うのだが、つい上がりこんでしゃべってしまう。
残雪研究2号、掲載されている小説3作のうち、冒頭の「伝説の中の宝」を読み始める。
主人公の田じいさんとその奥さんであるばあさんが実に面白い。私のように現実的には何のためにもならないことに熱中してしまうタイプの人間はまさに田じいさんそのもので、まるで自分を見ているようなもの。
現実的、実利的にしか生きないひとには理解出来ないだろう。現実に自己の生の価値を見いだせる人には小説という名の虚構装置などは必要ないのだし。(相変わらずの屁理屈、すみません)
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