童話より童話へわたる少女ゐていずれは童話ならぬ世界へという一首が目に飛び込んできました。
たった31音のなかに童話という言葉が3回も使われているのは、定型詩としてはむしろ絶対にしてはいけないことなのでしょうが、あえて意識的に、戦略的に3回使われているのでしょう。
童話より童話へわたる少女ゐて
いずれは童話ならぬ世界へ
こう分かち書きすると立派な2行詩ですらあり、人間という存在への、今様に言えば痛い、けれども優しい想像力に満ちた歌ではあります。
そんなことを考えているうちに、また、『原典対照ルイス・キャロル詩集』(高橋康也・沢崎順之助訳 ちくま文庫)のなかの「ぼくの妖精」を思い出してしまいました。
ぼくの妖精
ぼくについている妖精が
眠っちゃいけないって言うんです
あるとき怪我をして叫んだら
「泣いたりしてはいけません」
つい楽しくてニヤリとすれば
笑っちゃいけないって言うんです
あるときジンが飲みたくなると
「ものを飲んではいけません」
あるときご飯が食べたくなると
「ものを食べてはいけません」
勇んで戦に馳せ参じたら
「喧嘩をしてはいけません」
悩み疲れてぼくは訊く
「していいこと なにかあるの?」
妖精しずかに答えていわく
「質問してはいけません」
《教訓》汝……すべからず
それならさしづめ、私の場合はこう言われるだろう。
「歌っても踊ってもいけません!」
なぜ?
少なくとも散文を書く者はディオニュソス的であってはならない。
そう思うだけ。
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