2007年1月11日木曜日

チェーホフ「退屈な話」

チェーホフ『退屈な話(わびしい話』
 偏屈でペシミストな教授と、ひとりでは生きてゆけないような女性カーチャ。まったく退屈でわびしい話ではあるが若い頃から偏愛するチェーホフの小説のなかでもことさら偏愛する一編です。
 なぜかというと、以下に引用する教授の短い文章ゆえです。
……人間の内部に、一切の外的な影響を上回るより高度なもの、より強力なものがなくなると、ただ鼻風耶ひとつひいても心の平衡を失って、あらゆる鳥をふくろうと見あやまり、あらゆる音を犬の遠喫えと聞きあやまる。そうなると、彼のペシミズムなりオプティミズムなりは、彼の大小さまざまの思想と共に、単なる病気の徴候になりさがるのである……(チェーホフ全集「退屈な話」中央公論社刊より引用)

 そう、単なる病気の兆候になり下がらないために、私はこのチェーホフの文章を忘れないようにしていて、一年に何回か思い出し、何度でもこうして書き付ける、自分のために。

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