2006年11月3日金曜日

三人の作家、その作品の題名と内容

fauknershortstorys.jpg

 フォークナー短編集(新潮文庫・瀧口直太郎訳)のなかに、短編『あの夕陽』があり、『納屋は燃える』がある。

anoyuuhi.jpg  hotarunayawoyaku.jpg

 日野啓三にも『あの夕陽』がある。村上春樹には『納屋を焼く』がある。

 日野啓三の『あの夕日』は題名が同じだけでフォークナーの作品に似ている訳ではない。が客観化できない狂気のようなものが夕陽に象徴されてはいる。フォークナーの夕陽はもっと凶暴な殺人にいたる狂気が描かれている。
 セント・ルイス・ブルースの一節、
"I hate to see that evening sun go down(私はあの夕陽が沈むのを見るのが嫌い)''が題名の由来だというが、主人公である黒人女性、ナンシーの心の奥底からの呟きに思えてしまう。
 村上春樹の『納屋を焼く』には、語り手である僕が、フォークナーの短編集を読んでいたと書かれていて、この題名がフォークナーの『納屋は燃える(Barn Burning』から取られていることが判る。
 そして、どちらの登場人物も納屋に火をつけるのであるが、やはりフォークナーの人物の方がより強く凶暴な狂気を発している。村上の放火魔は自らの狂気を上手に飼いならしている感があるが、フォークナーの人物たちはまっすぐに破滅へと爆走して行く。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿