と思ったら、次の「4 法医学鑑定書」のふたりめの医師はこう書いている。
彼の母親は極めて短気な性格の持ち主で、非常に強情であると同時に気まぐれでもあり、また終始意地が悪く、その奇矯さは並外れたものであった。しかし夫は、はなはだ苦しまされたにもかかわらず、妻を恨むことができなかった。彼は妻の脳が正常ではなく、彼女が彼女自身の行動の主人ではないということをずっと以前から知っていたのである」
(下線は引用者自身)
この医師は、妻の家系の狂気の遺伝を取り上げているのだが、この妻、母が狂っているという視点からみると、これはこれでまた別の光景、物語が見えて来る。
こういうひとつの出来事の影に潜む重層性に目を瞑らなければ、ひとつの視点、ひとつのストーリーで一貫された小説を書くことは出来ない。まして、そのどちらがいいとか、間違っているとかさえ判らないが、単一な構成やストーリーの方が多くの読者を得るのは確かである。
難しい。
リンゴを栽培している親戚からいただいたシナノスイートを、家族二名がさっぱり食べないので、ひとりで毎日一個ずつ、夜ひとりになってから丸かじりしている。
今年のシナノスイートは例年より実が柔らかく、甘味と酸味のどちらも弱いので、いつもほどおいしく感じないが、その前に収穫時期を迎えるジョナゴールドが、例年は酸味が勝って閉口するくらいなのだが、今年に限って甘味と酸味がシナノスイート以上に競り合っている感じで味が濃く、実においしかった。終わってしまって残念。
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