2007年5月21日月曜日

見ないと損の夕焼け

 ひわきさんのHPやryoさんのブログで、檀一雄の忌日が「花逢忌」だと知った。
 能古の島というのは彼が住み、『リツ子 その愛』、『リツ子 その死』を書いた、あの場所なのだろうか。
 
 檀一雄といえば、安吾とのからみもあるが、太宰に、井伏大先生を待たせた挙句にその事を非難した檀一雄に向かって、「待つ身が辛いか、待たせる身が辛いか」というあの有名なせりふで逆襲した一件と、その苦渋の体験が生きて作品となった「走れメロス」、そして、檀が疎開していた佐藤春夫を訪ねた時のことを書いたエッセイ『佐久の夕映え』を思い出す。
 そのなかで檀一雄は「見ないと損の夕焼け」を見せようと、小さな坂を下駄を鳴らして下ってゆく佐藤春夫の姿を描写しているが、その小さな坂こそ、私の伯母が嫁いだ家の前の、軽トラックが通るのもやっとの狭い坂道だった。あそこに佐藤春夫が窮屈な生活を強いられていたと思うと感慨が深い。
 彼が疎開し住んでいた借家は「聴雪の家」と名づけられ、ずっとそのままの姿で保存されていたが、ある年の或る日、仕事で通りかかったら消滅していて、更地になっていた。
 ショックだった。
 「見ないと損の夕焼け」も「聴雪の家」も消えて無くなってしまい、今は檀一雄の「佐久の夕映え」のなかにのみイメージが生きて存続している。
 今となってはそんな美しい夕焼けも見ることが出来るかどうか。
 かつての少年時代のはかない早口遊びのように、「見れば損の(架空の)飛行機」しか飛んでいない。
 
 「花逢忌」。そういえば、私は檀一雄の『花筐』という単行本を持っている。なぜか好きな小説集だ。
 

2 件のコメント:

  1. 「花逢忌」にHさんと行ってきました。全面を海に囲まれた小さな「能古の島」に渡り、檀一雄の家と丘の上に建つ「石碑」のまえでグリークラブの歌を聴きました。主催者の「壇さん!飲むばい!」の音頭で全員で酒を飲みました。ある時期から檀一雄の作品にのめりこむように読みました。古本屋で「檀一雄」の詩集をみつけ購入しましたが読んでも難しくて意味がわかりません〜。でも彼の生き様、言葉、感性などが好きで何故か持ってるだけで心が豊かにかります。昨日は海風にさらされて疲れましたが良い1日でした。

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  2. いいですね、そんな風に忌日に名前が付けられて、多くの人が集まって。「壇さん!飲むばい!」
     九州福岡の風土が羨ましいです。
     
     詩集をお持ちですか。
     私も檀一雄に詩集があることは知っていましたが、まだ開いてみたことはありません。
     市の図書館にあるかどうか、検索してみます。
     疲労困憊して赤ちゃん睡眠(早寝遅起き)をしていましたのでレスが遅れました、申し訳ありません。

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