「文學界」で河野多恵子さんが連載されている「現代創作心得」が最初から面白くてずっと楽しみにしている。「文學界」が待ち遠しいなんて絶えてなかったことで、それくらい面白い。プロ・アマ関係なしに、小説の実作者だったらいつでも悩む問題が毎号扱われている。
7日発売の10月号では「一人称小説と三人称小説」について書かれている。それに呼応する、単元描写と複元描写という言葉を用いて実にそうだそうだと思われることが書かれていて、読んで楽しい。こういうことをきちんと考えずに書くひとは案外多いような気がする。
ちなみに、9月号は「筋」についてであり、これにも興味深いことがたくさん書かれていたが、断然に面白かったのは、昭和2年発行の「新潮」2月号の合評をはさんでの、谷崎潤一郎と芥川龍之介の間の「話の筋論争」である。
芥川は余り「筋」に重きをおいてはいけないと考え、谷崎は自分が創作するにしても他人のものを読むにしても、うそのことでないと面白くないと言う。
いやはや、昭和のはじめにもこの問題を悩んでいたのだなと共感と感慨しきり。
他にも10月号は評論特集があり、三本の評論が並んでいて、三本ともに結構面白い。
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